屋根は建物を雨や風から守る大切な部分ですが、普段は目に入りにくいため劣化に気づきにくい場所でもあります。気づいたときにはサビや穴が進行し、雨漏りや建物内部の傷みにつながってしまうことも少なくありません。
今回ご紹介する工場屋根も、老朽化が進み一部に穴が空いてしまっている状態でした。そこで私たちは、材料の荷揚げやフレーム取り付け、室外機の浮かせ作業といった工程を経て、ガルバリウム鋼板によるカバー工法で改修を行いました。この記事では、その施工の流れを写真とともにご紹介します。
施工前の状態



工事前の屋根は、長年の風雨や日差しにさらされてきたことで全体的に老朽化が進んでいました。表面にはサビや腐食が広がり、部分的には穴が空いてしまっている箇所も確認されました。実際に光が差し込むほどの状態で、放置すれば確実に雨漏りにつながるリスクがある状況でした。
屋根が傷むと、まず雨水が侵入し、天井のシミや内装の劣化を引き起こします。さらに進行すれば木材や鉄骨部分まで腐食させ、建物全体の寿命を縮める原因になってしまいます。見た目の問題にとどまらず、建物を利用する人にとっても大きな不安材料となるのです。
このように、**「まだ使えるかな」ではなく「そろそろ手を打つべき」**というタイミングで工事に踏み切ることが非常に大切です。今回も、まさにその判断が功を奏したケースでした。
材料の荷揚げ作業


屋根工事では欠かせないのが、材料を屋根の上まで運び上げる「荷揚げ(にあげ)」作業です。
今回のように折半屋根を施工する場合、使う屋根材は長さが数メートルに及び、一枚あたりの重量もかなりあります。これをどうやって屋根の上に揚げるかが、工事全体の効率と安全を左右します。
軽量の部材や短い材料は職人が人力で運び上げますが、長尺材や重量物はクレーンを使用。クレーンでまとめて吊り上げる際も、バランスを崩さないよう慎重にワイヤーをかけ、合図を出しながら息を合わせて行います。もし資材が風にあおられたりバランスを崩したりすれば大事故につながるため、周囲の安全確認も欠かせません。
また、揚げた材料はすぐに使いやすい位置に仮置きしておきます。これにより作業効率が大きく変わるため、ただ「揚げる」だけでなく、いかに先を読んで配置するかが職人の腕の見せどころでもあります。
普段はあまり意識されない部分ですが、荷揚げは工事のスタートを決める大切な工程であり、安全と段取りの両方が求められる作業なのです。
小田荷揚げが無事終わるとホッとします
施工中の様子






まずは古い屋根の軒先をカットし、新しい折半屋根を固定するための下地フレームを施工。
このフレームは完成後は見えなくなりますが、屋根全体を支える「骨組み」の役割を担う非常に重要な部分です。
取り付けの際は、既設屋根の下にある鉄骨フレームにしっかりビス留めを行います。これにより、新しい屋根と建物本体が一体となり、強風や積雪にも耐えられる確かな強度が確保されます。ここでの強度が非常に重要なので慎重に進めていきました。
今回採用したのは、既存の屋根をすべて撤去せず、その上から新しい屋根を重ねる「カバー工法」です。
この方法には、
- 工場の稼働を止めずに施工できる
- 廃材が少なく環境負荷を減らせる
- 二重構造になることで断熱性も向上しやすい
といったメリットがあります。最近では工場や倉庫でよく選ばれる合理的な工法です。
完了後の様子








約1週間の工期を経て、新しい折半屋根が完成しました。
もちろん屋根本体だけでなく、雨樋や幕板といった付随する部材もすべて新しく交換しています。これにより、屋根全体としての防水性・排水性がしっかりと確保されました。
仕上がった屋根は、シルバーに輝く美しい折半屋根。工事前に見られたサビや穴は跡形もなく消え、建物全体の印象も明るく引き締まった雰囲気になりました。
見た目の改善だけでなく、使用しているガルバリウム鋼板はサビに強く耐久性に優れており、一般的なトタン屋根に比べて寿命が大幅に伸びます。
さらに、軒先や室外機まわりといった細かい部分も丁寧に納めることで、意匠や雨仕舞いがスムーズになります。
これにより、建物を利用するうえでの不安が取り除かれ、長期的に安心してご使用いただける環境が整いました。
「何はなくともまずは屋根」。屋根がきちんとしていなければ、どんなに内部を整えても建物を安心して使うことはできません。今回の改修によって、その基本を確かな形で守ることができたと言えます。
まとめ
今回の工事では、
- 老朽化が進み穴が空いていた工場屋根を改修
- 材料の荷揚げやフレームの取り付け、室外機の浮かせ作業など細やかな対応
- 雨樋や幕板、ケラバ、面戸も含めた付随部材の交換
- 新しい折半屋根とともに美観と耐久性を向上
といった工程を経て、安心してお使いいただける屋根へと生まれ変わりました。
屋根は建物を守る“盾”のような存在であり、何よりもまず優先して整えておくべき部分です。
今回の改修でその基本をしっかり固めることができました。
また、弊社では工場の屋根工事だけでなく、住宅の屋根や外壁の張り替え、カバーリング工事も承っております。
屋根と同じく外壁も建物を守る大切な役割を担っていますので、気になる点があればお気軽にご相談ください。










コメント