2月に入り冬も後半戦です。寒波はもう無いと祈りたい所です。ここ最近はずっと雨樋の交換作業と現地調査をしています。今年は特に多いです。雪の降り方や気温が関係しているのかもしれません。今回は前回に引き続き雪と雨樋の記事になります。
15尺建の和風作り。弊社にて足場を組み雨樋交換後すぐに足場解体、1日の作業です。今までは455mmピッチだった金具を倍に増やして強度を上げました。これは軒が波打っており勾配をとる為、雨樋が上の方にしか付けられない状態。雪の重みが掛かりやすく再度破損の可能性を感じましたので金具を倍にするご提案を現場でいたしました。
やはり現場でしか分からないこともありますので臨機応変に対応することが大事です。元通りに直すだけが我々の仕事ではありません。なぜ今回壊れたのか、主な原因は何かを見極めコストを見ながら前より良くするのが我々の仕事だと思っています。
M様、この度はありがとうございました。
こちらのお宅は雪の重みでポリカ金具が根本から折れて軒樋が脱落寸前の状態でした。考えられる原因は前回の記事でも書きましたが、軒先の出し方と鼻隠しの位置関係、使用する軒樋の形状、瓦の素材、勾配、方位など複合的だと思われます。ポリカ金具がこの様に折れるというのは私自身あまり見たことがなく勉強になりました。
金具は仕様変更が有り形状が既設品と若干変わっています。これは強度を上げるために改良されたのかもしれません。今回は金具が外から見えない内吊りタイプなので雪の重みが最も多くかかる中央付近の金具ピッチを狭めて強度を上げておきました。
K様、この度はありがとうございました。
新潟での雨樋の取付け方
この様にメーカーから参考図が出ています。実際にはこの様に雨樋を取付けている業者は非常に少ないと思います。理由は雨が入りにくいからです。図を見たら殆どの人が「これじゃ雨は雨樋に入らないのでは?」と思うはずです。正解でもあり不正解でもあります。色彩スレートの取付け方は豪雨になれば雨樋に入らずに飛び出る可能性が高いです。でも豪雨時ってそれどころではないはずです。通常の雨ならちゃんと雨樋に入ります。瓦の方は雨が強くなるほど前に行かず鼻隠し側(内側)に多く雨が導かれます。この事から
下げ気味というのも曖昧な表現ですが、これを意識するだけで新潟の雨樋の脱落は半分以下になるはずです。
弊社でも上の図のように鼻隠しの一番下に雨樋を取り付けることはありません。メーカーは雨樋が壊れない雨樋の付け方を示していますが、我々板金店では意匠と雨の入り方と雪害破損のバランスを考えて位置決めをしています。
実務者でもこれらを理解せず雨を100%入れてやろうと”上げ気味に外側に”付けている方が居るのも事実ですし、雨樋は100%雨が入るものだと思っているお客さんも多いです。
豪雨は雨といに入らない場合もある事を理解しましょう。
気密断熱性能にも関係する
雪が屋根に多く積もり、気密の低い住宅の暖房暖気が小屋裏で野路板を温めて積もった雪を下から溶かす事によって雪が一気に下に落ちることもあります。瓦屋根の場合は瓦の下が通気層になり外気と同じ温度の為、下から雪を溶かすという事は少ないですが、ガルバ屋根などの場合はガルバの下に空気層は無くルーフィング、シージングボード、合板など密着状態ですので熱貫流率こそ低いですが熱橋となり雪が水っぽくなり、就寝時に暖房を消す事で今度は凍ったりを繰り返し氷水状態になり最後には一気に落雪するという事が起きます。雪止めを多く適切な位置に付けることである程度解決出来ます。
まとめ
新潟は中雪地域〜多雪地域。地域にあった雨樋の取付け方を理解している業者を見極めるのは非常に困難です。弊社も加盟している新潟県板金工業組合の加盟店は老舗の板金店が多く技術の高い方たちが多く居ます。この中からwebページなどを見て信頼できそうな方の所に問い合わせてみるのも良いかもしれません。ただこの業界IT系に弱く情報発信している方が極端に少ないのが困りものです。
PVC雨樋は主要メーカーでデンカアステック、パナソニック、セキスイの3社があります。新潟ではあまり見ないですが三菱、タキロンなども有り、年代によって廃盤やなったりメーカー自体が撤退したりしています。そんな中、数ある雨樋からメーカー、シリーズ、色の特定、金具の勾配、金具の出(出無し〜1寸5分出など)そもそも現在有るのか無いのか等を調査しなければなりません。これが意外と大変で何度も現場に足を運んだりメーカーや問屋さんに問い合わせたりしなければなりません。こういった経費が多くかかる工事なので割高な工事になる事が多いです。今回掲載させていただいた規模の工事でも6万円〜9万円程度掛かります(雨樋の雪害は火災保険が適用される場合があります)
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